劇も映画も物語という形を取ることが多いので似た体験だと思われがちです。
でも実はこの二つは全く別の体験です。
これは、鑑賞時の子どもの「首の動き」によく現れます。
劇を観ている時の子どもの首は非常によく動きます。
キョロキョロするんですね。
何を見るためだと思いますか?
人の顔を見るためです。
劇を観ていて「あ!」と思った時や「えー??」と驚いた後など、呼吸が変わった時に子ども達は友達や親の顔を覗き込むことが多いです。そして体もくっつきます。
対して映画を観ている時の子どもの首はあまり動きません。動かないどころか大体固まっています。
これはテレビやスマホ、ゲームなどにも言えると思うのですが、映像作品は基本的に個として向き合うものなのでしょう。だから首が固まる。他者とくっつく必要もない。
良し悪しの話をしているわけではありません。
体験が別物。脳への作用が違うのではないか、という話です。
映像作品は1人で観ても成立します。むしろ1人の方が集中して鑑賞できる、なんてこともあります。
しかし、舞台作品は1人で観ても成り立ちません。おそらく居心地が悪くて仕方ないでしょう。それは、「みんなで観る」ことを前提として生まれてきた「共感の営み」だからです。
「相互作用の有無」という違いもあります。
劇は、観客の反応によって演者は影響を受けますから実は微妙に変化しています。
対して映像作品は、基本的に出来上がったものを流すので、観客の存在によって作品が変化することはありません。
これにより映像作品は同じ作品を世界中で同時上映することもできます。マスに働きかけることができるのです。
劇にその力はありません。その代わり、観客の存在を直に感じて物語を紡いでいくことができます。
人形劇『おしいれのぼうけん』は、こういうことを念頭にパートナーの松本美里をはじめ、信頼できる仲間達と作った作品です。
客席が明るいのは、子ども達にいっぱい目を合わせて欲しいから。
椅子席じゃないのは、体をくっつけたり、姿勢を自由に変えられるように。
観客数を少なく制限しているのは、子ども達が劇中おしゃべりしても問題ないように。
写真は、奄美大島の奄美子ども劇場での公演にて。
彼女は、小さい頃から沢山劇を観ているらしく、面白いことがあるたびに友達と顔を見合わせながら笑っていました。
「劇は心を育てる」と言いますが、本当に子ども達の心を育てているのは、「劇を通した人と人の繋がり」の方なのだと思います。
人形劇は家族の思い出。
ぜひご来場くださいませ。
人形劇団ひとみ座作品
ひとり人形芝居
『おしいれのぼうけん』
原作:ふるたたるひ・たばたせいいち(童心社)
出演:松本美里
脚本・演出:西上寛樹
5月2日(木)19時00分〜 伊佐市菱刈環境改善センター
5月3日(金)10時30分〜/14時00分〜 伊佐市文化会館
各回50名限定
料金2,000円(3歳以上有料)
※本作品は子ども向け作品ですので子ども・大人同一料金となっております。
※チケット代は映画よりも少し高価ですが、生の舞台は本来お金のかかるものです。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
お申し込みは下記Googleフォームから