ドキュメンタリー映画『ひめゆり』ポレポレ東中野で上演中

観てきました。
ドキュメンタリー映画「ひめゆり」。ポレポレ東中野。(29日まで。20時30分〜 ※29日終演後監督の舞台挨拶あり)

このドキュメンタリーがなかったら「ちゃんぷるー」は、ああいう形にならなかったと思う。もしかしたら途中で書けなくなってたかも… 映画の冒頭に少しだけ話される壕の中で先生が歌ってくれた「お菓子と娘」という曲。調べて聞いてみるとお菓子を(学校帰りに?)買い食いする乙女の歌。ひめゆりの乙女達はその歌の事を今でも覚えている。ドロドロになって壕の横穴を掘っている中でのしばしの休息。みんな笑いながら聞いただろうが、歌を歌った女性教師の親泊先生は、「あら、これはあなた達の事を歌った曲なのよ」くらいの皮肉を言ったかも知れない。ひめゆり学徒隊が看護隊として、本当の意味で戦火に巻き込まれるほんの少し前のこと…「悲劇のヒロイン」ではない、「10代の普通の女の子達」としての姿を垣間見た瞬間だった。

この映画はDVDにはされていないので、僕はこの話を監督や生存者の方々やミュージシャンのCOCCOさんのインタビューの中で読んだ。そして昨日、やっと映画の中で観ることができた。
それは、このドキュメンタリー映画のほんの一部に過ぎない。映画は130分。元ひめゆり学徒隊の生存者の方々22名に10数年間に渡って聞き取り調査をしていく中で生まれた作品だという。膨大な量の映像の中から厳選されて130分の作品になったのだろう。22名の元ひめゆりの方々はみなさん美しい。非常にお洒落な方々である。その凛とした身なりで、草をかき分け、ガマの入り口の、男でも躊躇するようなゴツゴツとした急斜面をどんどん降りて行ってしまう。そのギャップが印象的だったが、監督の舞台挨拶のお話で合点がいった。彼女達は、その日やっとの思いで現地に足を運んだのだ。語り部として資料館で体験を語るのも辛い決断だったと思うが、その場所に足を運ぶことはもっと辛い。彼女達は、そこで命を落とした友人達に会いにいく気持ちで、身なりを整え撮影に望んでいる。監督曰く、
「車で30分の距離が彼女達にとってどれだけ遠いものだったか」
決して動きやすい服装ではないにもかかわらず、ガマに着いた彼女達は、どんどん降りていく。当時の記憶に体が突き動かされるようにして。
映画の説明欄にこう書かれていた。

〜ひめゆり学徒の生存者22名が、戦場の体験と亡き友への想いを自らの言葉で綴る初の長編ドキュメンタリーです〜

そこに「現地で」という言葉を付け加えたい。この映画が封切られたのは2006年。22名いらした生存者の方々もその後半数近くの方が天寿を全うされたという。今は、資料館の語り部も次の世代にバトンタッチされている。これからは体験者の方々のお言葉を直接伺うことは難しい。ましてその方々の記憶が最も色濃く残るその地でお話を伺うことはもう出来ないかも知れない。そんな生きた人間の「記憶」がこのドキュメンタリーの中に記録されている。

ドキュメンタリー映画「ひめゆり」。東京ポレポレ東中野にて6月29日まで毎日上映中。20時半から。29日上演終了後は、監督の舞台挨拶が予定されているようです。是非!!

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