ご報告
昨日の講座をもってボクの担当する児演協しばいの大学戯曲研究講座(全3回)終了しました。
例によって教室の写真はないのですが、進行表を掲載して、「こういう講座だった」というご報告をさせていただきます。
目次
講座の内容
戯曲研究講座vol.3「児童演劇の戯曲とは」
・あなたにとっての理想的な児童演劇とはどんなもの?
・日本最初の児童演劇は?
→お伽芝居「うかれ胡弓」1903年東京本郷座
→関わった人々について…巌谷小波、川上音二郎、川上貞奴、久留島武彦
・「うかれ胡弓」を読んでみよう
・「うかれ胡弓」をアシテジ世界大会TOKYO2020で上演するとしたら?
・巌谷小波が語った児童演劇の理想について
・休憩
※上演されなかった小波の戯曲「春若丸」を掲載した1903年の雑誌「少年世界」のコピーを置いておきました
・児童演劇って何?
・南アフリカ世界大会で感じた二つのこと
→1、言葉がわからなくても「分かる」芝居と「分からない」芝居がある。では、線引きの基準はどこにあるのか
→2、ベイビーシアターの衝撃。本物の児童演劇は、大人を変える
・教育と演劇の違い
・「春若丸」掲載雑誌の広告より。明治国家の成り立ちを考える
・巌谷小波が日韓併合を賛美していたという事実を現代の児童演劇人としてどうとらえるか
・教育は、「=大人の世界」にならざるを得ない性格をはらんでいる
・では、子どもの世界は?
・甥っ子姪っ子との体験談。眠る前に「お話しして」と二人が言った時、彼らは何を求めていたか
・児童演劇に求められる三つの要素
・具体的な講師の挑戦。「はれときどきぶた」について
・再び…「児童演劇って何?」講師が今考えていること
・全員で感想会
以上です。最初プロジェクターの不具合でスタートが遅れたこともあり22時ギリギリまで延長してしまいました。遠くからいらっしゃってくれた方には、ご迷惑をおかけしました。ごめんなさい。
感想とご案内
でも楽しかった〜 全3回の講座、その都度資料を作り調べ物をして授業を組み立てました。それは、作品づくりを通して自分が感じていたことを改めて言語化する作業でもありましたし、児童演劇や演劇の歴史の中での自分の立ち位置を確認する作業でもありました。
実は、今年度は児演協で助成金が取れなかったこともあり、しばいの大学の授業は講師陣、交通費が出るか出ないかという基本手弁当スタイル。正直固定給のないフリーの身では厳しすぎる条件でしたが、始まってみると楽しくて楽しくて。しかもそれは、「児童演劇を盛り上げたい」という拡散の作業というよりは、「児童演劇を突き詰めたい」という採掘の作業で、参加者の範囲は「プロ・アマ・児童演劇関係者に問わず子どもと関わる全ての方へ」だったものですから、マニアックすぎる内容でもありましたが、講座に参加してくださっていたお母さんや保育園の先生方も楽しんでいただけたようで、やっぱり区切って細かく見ていけばいくほど逆に普遍性が生まれ、広がりを持つのかと思ったりました。
「よく勉強してますね〜」と、声をかけてくださった方もいらっしゃいますが、この講座のおかげで火がついた、というのが正直なところです。三年目の講座でしたが、毎年違う内容で授業を組み立てられた自分にはとりあえず合格点。ここからは、自分が現在打ち出した理論と、創作の闘い。もう児童演劇は、作品の内容だけ話し合っていたらダメ。社会の中のコミュニティとして新しくデザインし直されていかないと。新作動き出しています。理論が発酵して「直感」として作用してくれるかは、ここから自分の新たな勝負。
ボクの講座はこれで終わりますが、しばいの大学の公開講座は残り15講座ございます。いつでもどなたでも参加できますので、ご興味ある講座がございましたらぜひご参加くださいませ!
→https://www.jienkyo.or.jp/wp-content/uploads/2018/08/shibai_no_daigaku_2018.pdf